言葉の部屋 詩歌

ブックレビュー 大森静佳「ヘクタール」(1)

この記事では、大森静佳さんの歌集「ヘクタール」(文藝春秋)の感想を、お話ししたいと思います。

画像の出典:Amazon

「はて、ヘクタールって何かの単位だったか」本のタイトルを見た時に頭に浮かんだことでした。

少々調べていると、小学校の頃の記憶が蘇ってきました。広さの単位なんですね。

  • ヘクタールは、メートル法の面積の単位。記号は「ha」
  • 1ヘクタール=100アール=10,000平方メートル

 

いえいえ、ヘクタールは「さびしさ」の単位

ありました!本のタイトルの「ヘクタール」を詠んだ歌が。

(短歌)さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて  大森静佳

素敵としか言いようがない歌ですが、特に2つ気づいたことがありました。

 

さびしさを詠んでいるのに、「爽やかさ・若さ」を同時に感じる

「さびしさ」「あお」とくれば、超ブルーな主題だと認識すると思います。

しかし、「ヘクタール」が象徴する広々とした空間、「あおあお」と2回重ねて元気に茂っている様
「風に吹かれて」の涼やかさで、「爽やかさ・若さ」を感じるのではないでしょうか。

 

この短歌の一人称(大森さんでしょうか)の、生きてきた時の流れを感じる

「いまも」という言葉が、良い仕事をしていると思います。次のように解釈しました。

幼い頃に葱畑の近くに居住しており、その広大さと自分を対比して「さびしさ」を感じた。
もしくは、「さびしい」時に、畑を眺めていた。だから、「さびしさの単位=ヘクタール」
大人になった今は葱畑は見えないけれど、「さびしさの単位=ヘクタール」という感性を持ち続けている

 

皆さんの解釈も、是非お伺いしたいです!

 

ところで、大森静佳さんってどんな方?

私にとって大森静佳さんは、大好きな歌人で超有名人なのですが、ご存知ない方のために念のため。

  • 1989年生まれの岡山県出身、京都大学卒業
  • 高校2年次より「毎日歌壇」の投稿を始める。高校3年時に毎日歌壇賞を受賞
  • 2013年、第1歌集『てのひらを燃やす』を刊行し、第39回現代歌人集会賞受賞
  • 翌2014年、同歌集で第20回日本歌人クラブ新人賞、第58回現代歌人協会賞を受賞
  • 2018年、第2歌集『カミーユ』を刊行、同書で第12回日本一行詩大賞を受賞

全て、ウィキペディアからの情報です。間違っていたら、ごめんなさい。

-言葉の部屋, 詩歌
-, , ,