この記事では、大森静佳さんの歌集「ヘクタール」(文藝春秋)の感想を、お話ししたいと思います。
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「はて、ヘクタールって何かの単位だったか」本のタイトルを見た時に頭に浮かんだことでした。
少々調べていると、小学校の頃の記憶が蘇ってきました。広さの単位なんですね。
- ヘクタールは、メートル法の面積の単位。記号は「ha」
- 1ヘクタール=100アール=10,000平方メートル
いえいえ、ヘクタールは「さびしさ」の単位
ありました!本のタイトルの「ヘクタール」を詠んだ歌が。
(短歌)さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて 大森静佳
素敵としか言いようがない歌ですが、特に2つ気づいたことがありました。
さびしさを詠んでいるのに、「爽やかさ・若さ」を同時に感じる
「さびしさ」「あお」とくれば、超ブルーな主題だと認識すると思います。
しかし、「ヘクタール」が象徴する広々とした空間、「あおあお」と2回重ねて元気に茂っている様、
「風に吹かれて」の涼やかさで、「爽やかさ・若さ」を感じるのではないでしょうか。
この短歌の一人称(大森さんでしょうか)の、生きてきた時の流れを感じる
「いまも」という言葉が、良い仕事をしていると思います。次のように解釈しました。
幼い頃に葱畑の近くに居住しており、その広大さと自分を対比して「さびしさ」を感じた。
もしくは、「さびしい」時に、畑を眺めていた。だから、「さびしさの単位=ヘクタール」。
大人になった今は葱畑は見えないけれど、「さびしさの単位=ヘクタール」という感性を持ち続けている。
皆さんの解釈も、是非お伺いしたいです!
ところで、大森静佳さんってどんな方?
私にとって大森静佳さんは、大好きな歌人で超有名人なのですが、ご存知ない方のために念のため。
- 1989年生まれの岡山県出身、京都大学卒業
- 高校2年次より「毎日歌壇」の投稿を始める。高校3年時に毎日歌壇賞を受賞
- 2013年、第1歌集『てのひらを燃やす』を刊行し、第39回現代歌人集会賞受賞
- 翌2014年、同歌集で第20回日本歌人クラブ新人賞、第58回現代歌人協会賞を受賞
- 2018年、第2歌集『カミーユ』を刊行、同書で第12回日本一行詩大賞を受賞
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